全国土地改良事業団体連合会とは
全国土地改良事業団体連合会(全国水土里ネット)の沿革や組織図、事務局および各事務局の活動内容、また当会の行う事業についてご紹介いたします。
沿革
全国土地改良事業団体連合会(全国水土里ネット)の前身である帝国耕地協会は、昭和2年に設立され、耕地整理法に基づく耕地の拡張、水利の改良等の普及発展と事業者の共同の利便に貢献してきました。
同会は昭和24年の土地改良法の制定に伴って昭和27年に解散し、代わって社団法人土地改良協会が設立され、土地改良事業について同様の役割を果たしていました。
しかし、土地改良事業のうち、土地改良区、農業協同組合等が行う団体営土地改良事業については、これら団体の事業執行のための体制及び技術力に限界があり、事業の実施が必ずしも適切かつ効率的に行われていませんでした。
このため、昭和32年の土地改良法の改正において、全国及び都道府県段階で土地改良区、農業協同組合、市町村等の土地改良事業施行者の協同組織として、土地改良事業団体連合会の設置が制度化されました。連合会は、これら土地改良事業施行者への運営面及び技術面にわたる支援、指導を行うほか、土地改良事業に関する情報の提供、調査及び研究等を行い、土地改良事業の円滑な推進に資することとなりました。
全国水土里ネットは、昭和33年6月24日に創立総会を開催し、同年8月19日に農林大臣の認可を受け設立され、今日に至っています。
参考
▪️ 土地改良法
第4章 土地改良事業団体連合会
- 目的第111条の2 土地改良事業団体連合会(以下「連合会」という。)は、土地改良事業を行う者(国、都道府県及び第95条第1項の規定により土地改良事業を行う第3条に規定する資格を有する者を除く。以下この章において同じ。)の協同組織により、土地改良事業の適切かつ効率的な運営を確保し、及びその共同の利益を増進することを目的とする。
- 法人格第111条の3 連合会は法人とする。
- 原則第111条の4 連合会は、次に挙げる要件を備えなければならない。
- 営利を目的としないこと。
- 会員が任意に加入し、又は脱退することができること。
- 会員の議決権が平等であること。
- 種類第111条の5 連合会は、都道府県土地改良事業団体連合会(以下「地方連合会」という。)及び全国土地改良事業団体連合会(以下「全国連合会」という。)とする
組織
全国水土里ネットは、都道府県水土里ネット及び施行地域が2以上の都府県に跨り、またはおおむね3千ヘクタール以上の面積を有する土地改良区または土地改良区連合で組織されています。
現在の全国水土里ネットの会員(令和5年4月現在)は、47都道府県の都道府県水土里ネットと27土地改良区の計74会員です。
参考
▪️ 土地改良法
第4章 土地改良事業団体連合会
- 会員の資格第111条の10 地方連合会の会員たる資格を有する者は、地方連合会の地区内において土地改良事業を行う者であって定款で定めるものとする。
2. 全国連合会の会員たる資格を有する者は、次に掲げる者であって定款で定めるものとする。
- その施行に係る地域が二以上の都府県の区域にわたる土地改良事業その他その施行に係る地域内の土地の面積が農林水産省令で定める面積をこえる土地改良事業を行う者
- 会員が任意に加入し、又は脱退することができること。
▪️ 土地改良法施行規則
第89条の2 法第111条の10第2項第1号の省令で定める面積は、おおむね3千ヘクタールとする。
事務局
中央換地センター | 土地改良区や都道府県水土里ネットと連携し、土地改良換地制度の推進や異議紛争の未然防止等を図るための研修、助言・指導、啓発普及資料の作成、情報提供、調査研究などを行っています。また、各地で実施されている土地改良事業において換地に関する問題が発生した際の会員からの相談の窓口を担っており、適切な手続きを進めるための解決策を提示し、事業の推進をサポートしています。近年では、所有者不明農地等の解消に向けた民法の財産管理制度の活用推進、新たな事業制度に即した換地手法等の統一化、農家向けプレゼンテーションツール等、異議紛争未然防止のための啓発普及資料の作成に取り組んでいます。 | ▪ 換地に関する会員へのサポート業務 ▪ 財産管理制度活用推進対策 ▪ 換地関係異議紛争処理実務研修 |
中央土地改良管理指導センター | 農業水利施設の整備補修を行う適正化事業や施設管理技術者の育成研修を実施しています。また、地域営農体制を確立するためのワークショップや情報提供などを通じて地域活動を支援しています。その他、基幹水利施設の受益団体等が連携して、情報交換、研鑽を行い維持管理事業の推進を図る協議会の事務局を担っています。 | ▪ 土地改良施設維持管理適正化事業 ▪ 施設管理研修 ▪ 土地改良施設の整備補修事例検討会 |
土地改良広報センター | 土地改良団体における男女共同参画を推進すると共に、農業・農村に関する新たな施策、農業農村整備事業や水土里ネットに係る情報を適宜会員に提供するとともに、農業・農村の役割やこれを支える水土里ネットについて広く国民の関心と理解を高めるため、各種広報活動を行っています。 | ▪ 男女共同参画 ▪ 全国水土里ネット女性の会 ▪ 未来へつなごう!ふるさとの水土里子ども絵画展 ▪ 季刊 新・田舎人 ▪ 疏水ネットワーク、疏水フォーラム ▪ 水が伝える豊かな農村空間写真コンテスト |
支援部 | 土地改良区等の運営における相談の対応をはじめ、土地改良区等の役職員を対象とした研修会の企画・運営及び業務マニュアルや啓発資料などの作成を行っています。特に、土地改良区等の業務体制の強化に向けて、国の補助を受け、以下の研修事業に取り組んでいます。 | ▪ 統合整備推進研修 ▪ 会計指導員育成研修 ▪ 複式簿記導入促進特別研修 |
企画研究部 | 時代の変化や国の政策に沿った土地改良団体の在り方などについて調査、研究しています。 | ▪ 小水力発電や太陽光発電に関する調査研究 ▪ 多面的機能支払交付金の取組促進に関する調査研究 |
管理システム研究部 | 土地改良区等の土地改良事業に係る負担金対策、土地改良区や都道府県水土里ネットの組織運営基盤の強化等を図るための実態把握等を実施しています。また、農業水利施設の安全管理対策啓発を行っています。 | ▪ 農家負担金軽減支援対策事業 ▪ 農業水利施設の安全啓発用ポスター |
システム開発部・ 技術開発部 |
土地改良区や都道府県水土里ネット職員の業務効率化と技術力向上、行政への協力等を目的とした業務を行っています。 | ▪ 水土里情報システムの普及 ▪ 大規模自然災害被災地の災害復旧業務の支援 |
事業
全国水土里ネットが行う事業は土地改良法第111条の9により定められ、土地改良事業を取り巻く情勢の変化に伴い次のような経緯で拡充されてきています。
昭和59年には、ほ場整備事業の推進に伴う換地処分の増加、農村の環境変化に伴う土地改良施設の操作、管理の高度化等の状況の下で、会員に対する換地処分、土地改良施設の管理等についての指導業務が増大したことにより、従来の技術的援助に加えて会員に対する指導業務が追加されました。
また、平成3年には、農業農村整備事業のうち国営および都道府県営事業のウエイトが高まったことに伴い、国及び都道府県と土地改良区の連携、連絡の強化が重要となったことに鑑み、国又は都道府県営事業への協力業務が追加されました。
さらに、令和4年4月より、財政融資資金を活用した資金の調達により土地改良施設の整備補修を早期に実施するため、全国水土里ネットが行う「土地改良施設の適正な管理に必要な資金の交付」が追加されるとともに、全国水土里ネット及び都道府県水土里ネットが「会員から委託を受けて行う土地改良事業の工事」が追加され、技術職員が不足している市町村や土地改良区に対する支援業務が規定されました。
参考
▪️ 土地改良法
第4章 土地改良事業団体連合会
- 事業第111条の9 連合会は、次に掲げる事業を行うことができる。
- 会員の行う土地改良事業(土地改良事業に附帯する事業を含む。次号から第4号までにおいて同じ。)に関する技術的な指導その他の援助
- 会員から委託を受けて行う土地改良事業の工事
- 土地改良事業に関する教育及び情報の提供
- 土地改良事業に関する調査及び研究
- 国又は都道府県の行う土地改良事業に対する協力
- 全国連合会にあつては、次に掲げる事業
イ 会員たる地方連合会の事業の指導
ロ 直接又は間接の会員が土地改良施設の管理を適正に行うために必要な資金の交付 - 前各号に掲げる事業のほか、第111条の2の目的を達成するため必要な事業